ふるさとの作家たちとの出会い ~紀州人3人とのつながり~ 私のエッセイ雑記帳(その84)

ライフワーク研究家 中村 義


珍しく図書館へ出向いた。最近は、借りた本を別の図書館で返還できるシステムが発達しているから、とても便利なことである。IT技術が進歩したよい例のひとつである。


おまけに、一度に10冊も借りることができるので、読書好きには、まことに好都合である。これまで、古本市やインターネットで買ったりしていたが、時には図書館へ通うのもいいという当たり前のことに気づいたのが、私としては遅いくらいだ。


今回5冊を借りてみた。2冊は司馬遼太郎、1冊は井上ひさし、と好きな作家に関わる本たち。さらに、傍にあった『歴史・時代小説の作家たち』(尾崎秀樹、講談社)と『名作うしろ読み』(斎藤美奈子、中央公論新社)もついでに借りた。


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偶然に借りた本たちの中で、とても不思議なつながりを発見することになり、少々興奮気味で、このエッセイを書き始めたというわけである。


まず、読売新聞に連載されている「名作うしろ読み」は、ほとんど欠かさずに目を通しているのだが、それが単行本になっていることは知らなかった。20094月から201112月までの分で132冊の本が紹介されている。


うまく分類されており、青春の群像では、『竜馬がゆく』(司馬遼太郎)、女子の選択では『紀ノ川』(有吉佐和子)、不思議な物語では『吉里吉里人』(井上ひさし)、風土の研究では『紀州―木の国・根の国物語』(中上健次)が気になった。というのは、有吉と中上は、あとで出てくる津本陽を含めて私の同郷の人たちであるからで、たまたま借りた本の中で、不思議なつながりを体感することに。


meisaku1.jpg有吉と津本は和歌山市の出身で、私が高校時代まで過ごした和歌山城近くの住人でもあったことは知らなかった。中上は新宮市出身である。“先の『紀州…』の中で司馬遼太郎の『街道をゆく』を指して、行政当局が敷いてくれた取材ルートに乗り、その土地のサワリの部分を、文人気質でサワッてみるだけの旅だと批判する。


『紀州…』の方法論はまったく逆だ。自らの愛車を飛ばし、行く先々でアポなし取材を試み、土地の人々の一代記に耳を傾け、あるいは立ち止まって思索する。”(出所:名作うしろ読み、斎藤美奈子)

この中上の書き出しには「紀伊半島を六か月にわたって廻ってみる事にした」とある。

このことは、司馬さんは知っていたのだろうかと思って調べてみると『紀州…』は1978年に出版されたので、この中上の強烈な批判は司馬さんもご存知であったはずである。司馬さんファンとしてはこの表現には、いやはやどうも困ったことである。


津本は、『歴史・時代小説の作家たち』に取り上げられており、紀州ものでは、生物学者・南方熊楠の型破りの生涯を描いた『巨人伝』や、紀州の豪商・紀伊国屋文左衛門の波瀾の人生コースをたどった『黄金の海へ』などの作品が紹介されている。


meisaku2.jpgこの南方熊楠は、司馬さんの『坂の上の雲』に登場する正岡子規と東大予備門の同期であったことや、ごく最近、東洋大学で開催された熊楠シンポジウムに参加してからは、熊楠のことについて、もっと深く関わり合いたいと思っていたところである。11月下旬には紀伊田辺市にある「南方熊楠顕彰館」や「熊楠邸」などを訪問することにしている。


また、紀伊国屋文左衛門が江戸に向かって船出した港のある村は、私が産まれた海草郡加茂郷というところであり、私の産後数か月して、和歌山内へ転居したと両親から聞いたことを思い出した。


こうしてみると、有吉、中上、津本、司馬、南方、紀伊国屋、などがとても身近な人物であるという奇妙な繋がりに興奮する。これも偶然に思い出したように出かけて、膨大な書架から、たまたま見つけた数冊の中にすべて同居していた、気になる人物たちが私を呼びこんでくれたような出会いとしか言いようがない。


本好きの私にとっては、まことに幸せそのものである。

また、そっと図書館へ行くことにしよう。また、うれしいおまけがあるかな。



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シニアライフを元気で過ごすには ~3つのことをバランスよく~ 私のエッセイ雑記帳(その83)

                          ライフワーク研究家 中村 義

企業を早期退職して、もう20年以上、これまで多くの新しい出会いがあった。同時に様々なテーマを追いかけながら貪欲に学習し、研究し、実践を重ねてきた。

団塊世代の皆さんよりは少し先輩であるが、生きざまは共通することも多いのではないかと感じている。このシニアライフというテーマ分野では、取り分け女性陣の活動にはいつも感動してきたし、私は今でも「女性に学べ」と言い続けている。

これまでおつき合いさせていただいた元気シニアには共通するものがあることに気づいた。まとめてしまうと次の3つの共通項である。

まず、自ら健康管理をしていること

テニス、ゴルフ、ジョギングなどを含めて、多くのスポーツをそれぞれが楽しんでいる。驚いたのは、フルマラソンに挑戦し続けている50代の女性、毎朝2時間のジョギングを欠かさない。日課のひとつに組み込まれていて、雨でも雪でもどんどん走る。還暦を目標に、リタイア後マラソンに挑戦しようと計画的なトレーニングを実行して、ホノルルマラソンや東京マラソンにも参加した男性も頑張っている。

私は、学生時代には登山や沢登りなどを楽しんだが、中高年の方には今では歩くことをすすめている。それも「速歩」である。時速6キロくらいで、普通の歩く速度の1.5倍ほどのスピード。冬場でも歩き始めて、10-15分くらいで汗ばんでくるのが大体の目安である。ぜひ実行して欲しい。周りの景色や四季おりおりの自然を楽しみながら、また欲張って自分のテーマに関する情報収集にも役立つ。

早寝早起きの習慣と組み合わせることで、お金のかからない素敵な健康法である。

次に、コミュニケーションを楽しむこと

これは何も話すことだけではなく、字を書く、絵を描く、何かを作ることなども含めて、さらに、たまには子供たちと一緒に遊びを通してコミュニケーションを共有するという具合に発展できれば、なおさらいい。

子供、大人を問わず、会話をしながら何かをすることを大切にする。特に、女性はこの分野ではすばらしい能力を発揮するので、男性諸君は見習って欲しい。まずは奥様との会話から始めてみませんか。

最後は、食を楽しむこと

幸い日本は食に大変恵まれ、四季おりおりで旬の野菜や魚などを食べられる。もっとも近年の偽装表示や不安全食品には腹立たしいことであるが。昔は全国各地に素晴しい食文化があった。ところが世の中が便利になって、どこでも同じものを買える時代になっているがそれでいいのかと思うことがある。

地産地消などと言うが、そこで生活している土地の産物を一番美味しい旬の時期に、その土地でいただくのは贅沢なことになってしまった感がする。私達が伝えていかなければならないことでもあるが、食を楽しむことは大切なことである。

さらに少しの純米酒を嗜むことも、健康に良いことが科学的に立証されているので、おまけの情報としておく。ただし、飲みすぎはいけません。日本酒なら、毎日1合に留めておけば、より健康長寿になる。(これは「利き酒師」の私よりの、おまけの余談です)

こうしてみると、これらの3つのこと、すなわち、健康、コミュニケーション、食というのはシニアだけでなく、全ての人が幸せに生きるための基本的にとても大事なことであるとも言える。

皆さんと共に、健康100寿をめざしたいものである。

posted by Ryoma21 at 17:17 | Comment(0) | 中村義「私のエッセイ雑記帳: | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「5文字の文学」の世界があった! ~日本語の素晴らしさに感動~  私のエッセイ雑記帳(その82)

ライフワーク研究家 中村 義

書き留めておきたいテーマというものは、突然に浮かぶことが多い。バスなどで移動中に、ふと気づくことも少なくない。そんなときは、急いで小さなメモ帳や打ち合わせ資料の隅などにメモることが習慣になっている。

ところが、メモ帳のたぐいはいくつもあり、また紙きれなんかにも書きとめるので、うっかり無くしたり、行方不明になることもしばしば。これだけは残しておきたいということについては極力早めに整理しておくのがいいと分かっているのだが、現実にはそうはいかないのが私の欠点であるから始末に悪い。

さて本題に入る。

ちょっと大げさに言うと「日本文学」の範囲という定義などは別にして、読み書きの好きなものにとっては、その文章の容量が気になる。ごく大雑把で身近に親しんでいるものから、その分量の多い順に並べてみると、小説(長編、短編)、随筆(エッセイ)、詩、短歌、俳句・川柳などという分類ができる。

短歌は31文字、俳句・川柳は17文字ということで、こんなに少ない文字で表現できる日本語って、なんて素敵なんだろうと、いつも感心している。

でも、もっと短い文学というか、ものがないかな?なんて考えていたら、あの「いろはカルタ」のことが頭をよぎった。

今では、すっかりご無沙汰の世界ではあるが、昔を思い出して「い」「ろ」「は」…と復唱している私がいた。とりわけ少ない字数のものを探してみると、まず7文字の「花より団子」、次に6文字の「猫に小判」が見つかった。

大事なことは単語だけではなく、短い文字の中に深い意味が存在していること、すなわち日本人なら誰でもその内容を理解できることが大前提である。

そして、ついに究極の5文字にたどり着いたのである。しばらく興奮状態が続いたのは言うまでもない、

それでは発表します。「糠(ぬか)に釘」。やった!この5文字、「世界で一番短い文学?を発見」と勝手に小躍りした私がバスの中にいたのである。

と、昨年5月にここまで書いて喜んでいたところ、ごく最近、この「5文字の世界」に是非とも追加したい情報を見つけてしまった。それは2013年12月に日本の「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことに関連して、この日本人の伝統的な食文化を支える「五の世界」が存在していることを知ったのである。

それらは、次のような「和食に大切なものとしての5つの五の世界がある」ということで、同時に日本語のすばらしさの極みを表しているのだ。

・五法:生(切る)、煮る、焼く、蒸す、揚げる

・五味:酸味、苦味、甘味、辛味、塩味

・五色:白(清潔感)、黒(引き締め)、黄・赤(食欲増進)、青・緑(安心感)

・五適:適温、適材、適量、適技、適心(おもてなしの心)

・五覚:視覚、臭覚、聴覚、触覚、味覚

これら全てがバランスよく混ざり合い、和食独特の美しさを演出していることで、やはり世界が認めた究極の和食文化である、ということを改めて知った。

何ということか、再度この「5つの五の世界」のそれぞれの意味合いをじっくりと眺めることで、日本語そのものの素晴らしさと古来より延々と受け継がれている日本人の繊細な美的感覚にも驚嘆したのである。

これぞ、食と言語の一体化した世界に誇れる文化資産であることに、まったく異論はない。本当に日本人に生まれ育ってよかった、と感じる瞬間でもあった。

(余談)以前、行きつけの寿司店の職人から聞いた言葉を思い出した。「料理には基本はあるが、決まりはない」という名言である。この基本とは5つの五の世界のことで、決まりとは、各人が考えるバランスを大切にして、その料理に合う容器に盛りつけたり、四季おりおりの植物をあしらうなどの工夫を凝らした演出をすること。そのことを寿司職人は私に言いたかったのではないだろうか。やっと彼の本意を理解することができた。

<参考書籍>『熊楠works』vol.43(2014.4.1)南方熊楠顕彰会発行「雑感」

(追記:余談)沖縄は、もっと凄い!

先日、テレビで沖縄の方言で、びっくり仰天の言葉(日本語)の世界を知ったので紹介する。
「すーぬーぷー」「いー」という親子のやり取りである。
これを翻訳?すると「お父さんオナラした?」「うん」という会話である。

ちなみに、すー:お父さん
     ぬー:何?
     ぷー:オナラ
     いー:うん

ということである。たまげたものだが、彼らはこれで十分に意思疎通ができているから驚きを超えた世界でもある。

他にも、「わー:自分」、「たー:誰?」など、まるでスパイ用語みたいな面白い日本語に感心しきりである。やはり日本語はいいね。

posted by Ryoma21 at 21:50 | Comment(0) | 中村義「私のエッセイ雑記帳: | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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